• 医学連とは
  • 取組と実績
  • 運営と財政
  • 役員
  • 加盟校

地域枠に関する記者会見を行いました!!

医学連は、2021年11月19日(金)に厚生労働省において、地域枠問題に関する記者会見を行いました。これまで、2020年11月に山梨県・山梨大学が地域枠離脱者に対する罰則として新たに違約金制度を設けたことに端を発し、日本労働弁護団・全国医師ユニオンと会議で検討を重ねてきました。その結果、3団体がそれぞれの意見書を発表し、合同で記者会見と厚生労働省要請を行なうという行動に結びついたものです。

 

 医学連からは、「医学部地域枠における課題を提起し、より柔軟な制度設計を求める意見書」を発表し、2019年に行った地域枠に関する全国アンケートの結果や、2020年に提出した山梨県への公開質問状の回答からわかることについて説明し、各社メディアを通して、社会全体へ医学連の取り組みについて発信することができました。その様子を簡単にご報告します。

会見の様子。左から植山医師(医師ユニオン)、田村(書記長)、有馬(委員長)、市橋弁護士(労働弁護団)。

 

医学連からの発言

 まず初めに、有馬から記者会見に至った経緯、地域枠制度の概要、その抱える課題について説明しました。なかでも山梨県が設定した違約金について、具体的に金額を示し、経済的に大きな負担となること、法的な問題が指摘されていることについて話したうえで、医学連として違約金撤回を求めていくことを表明しました。

 続いて、山梨大学の医学生から山梨大学の地域枠学生として卒後の支援が十分になされていないこと、在学中にももっと地域医療を学ぶ支援をしてほしいということを訴えました。また、違約金設定によって地域枠にネガティブな印象がついてしまうという懸念について話しました。

 その後、田村から意見書で医学連として掲げた提言の内容について説明しました。(ア)~(エ)の4つのポイントについて触れるとともに、地域枠制度がペナルティ重視という「手段の目的化」に陥っていると指摘し、多様な人生選択を尊重できる制度設計になるよう制度を見直していくように働きかけていく方針を伝えました。

 

日本労働弁護団からの発言

日本労働弁護団として弁護士の市橋弁護士が、労働基準法第16条の趣旨に反する不適切なものであるという観点で労働問題であると考えられるということを中心に発言されました。

返済額が大きく、拘束期間の長さ、さらに利息に加えて違約金を課すということは、16条との関係が問題となってくると考えられ、特に山梨県に関しては違約金に関しては早急に撤回すべきであると発言されました。

地域枠制度についてはペナルティを課すのではではなく、どうしたらその地域に残ってもらえるかという方向性で考え、具体的な制度設計については、当事者である医学生・医師の声を聞いて欲しいと発言されました。

 

全国医師ユニオンからの発言

全国医師ユニオンとして植山医師が今回の地域枠問題の特徴を中心に発言されました。

医療界には色々な問題があり、女性差別や労働環境といった問題のその根底には昔からの慣習みたいなことがあるが、今回の問題は今の時代に人権侵害の制度を作ろうとしているということが特徴であるとし、地域の問題に関して学生に丸投げしてしまっているということが問題であると発言されました。

具体的な要請項目に関して要請書の項目を説明しつつ、長期的には根底には医師不足の問題があり、どこの地域でも医師を確保したいということから医師の取り合いになるため、これに対しては抜本的な改善が必要であると発言されました。また、地域医療に関する検討会を充実させる必要があるとしました。現在医師の需給に関する内容は医師需給分科会で検討されているようであるが、医師の数合わせの話にしかなっておらず、あるべき地域医療、医師養成の話をすべきであるとし、このような検討は医師の労働組合、患者会の代表、地域枠医師なども含めて進めていくべきだとしました。

 

Q&A

参加した記者から多数の質問が寄せられました。その一部をご紹介します。

Q.地域枠学生は入試のときに優遇されていることや、離脱している学生がいるというのも事実だと思うが、地域枠学生はどのように苦しんでいるのか

A.入試制度においても、決して優遇ということばかりではない。点数が上の学生から地域枠に採用されることもあり、一概に優遇とは言えない。ただ、学生の中からも(入試に)通りやすいのではないかと、地域枠というレッテルを貼られていることに苦しむ学生もいる。地域枠で入ったものの離脱したいという学生は、一定数出てくる。9,000人いる医学生の2割近くが地域枠であり、その中で1人も将来設計が揺るがないというのはあり得ない。事情は様々だが、その地域で働くことを断念せざるを得ない。一定期間県外に出て戻ってきたいという学生もいるが、それを離脱したと見なされてしまうこともある。その点で柔軟性がないと感じる。(田村)

 

Q.「約束したんでしょ」「わがままじゃないの」という声も多いと思うが、それに対してどう説明するか

A.確かに、入学時点で契約を交わしているというのは事実。しかし、現時点での契約制度については説明が十分にされていないという側面もある。地域枠学生になってからの支援も不足していて、離脱する可能性もある(有馬)

A.契約というならば、不利益事項が明記してある必要がある。だが、違約金や専門研修の制限など途中から不利益が増えていく。留年や国家試験の不合格、体調不良・死亡などの事由があるが、こういう人たちにはペナルティよりもむしろ支援が必要。(植山医師)

A.地域枠は若い医師にお金を貸して地域での勤務を義務付けているが、なぜそれを若い世代だけにさせるのか。全世代が考えていく必要があると思う。(田村)

 

記者会見の様子は、全国医師ユニオンのホームページから動画を閲覧することができます。ぜひご覧ください!

 

各団体の発表した意見書

・医学連:医学部地域枠における課題を提起し、より柔軟な制度設計を求める意見書

・日本労働弁護団:医師の「地域枠」制度の改善を求める意見書

・全国医師ユニオン:地域枠制度問題に関する要請文

  • 医ゼミ
  • 医師養成
  • 自治会活動
  • インタビュー
  • 医学連新聞
  • 新聞スクラッチ
  • 企画スケジュール
  • 医学生DATA
お問い合わせ医学連役員ブログ医学連アンケート
facebook
  • pagetop
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。