イスラエル・イラン間および米国による一連の軍事衝突に関する声明文
2025 年 6 月 13 日イスラエル政府は、イラン国内の核関連施設に対して空爆作戦を 実施しました。標的になったテヘラン近郊および、イラン中部ナタンズ、イスファハ ーンの核開発施設では被害が発生しました。IAEA の報告によると、「施設外では放射 性物質の発生は確認されていませんが、施設内では放射線汚染の可能性がある」とし ています。また、子どもや女性を含む民間人に対しても、被害が確認されています。 これらの襲撃を受け、イランはイスラエルに向けて報復攻撃を行い、イスラエル国内 の医療施設で被害がでています。さらに米国も 6 月 21 日夜、イランの核開発施設を攻 撃しました。多大な被害が発生したため、イランは、カタール国内の米軍基地にも報 復攻撃をしています。イランの核開発の抑止が目的とされるこの一連の軍事行動によ って二国間は停戦にいたりましたが、アメリカのトランプ大統領はこの停戦を広島・ 長崎の原爆投下により終戦させたことと「本質的に同じである」と発言しています。
今回の一連の軍事行動で被害にあわれた方々に深く哀悼の意を表します。 全日本医学生自治会連合(医学連)はイスラエル、イラン間および米国による一連
の軍事行動に深い憂慮と反対を表明します。医学連の規約には、「平和と民主主義を 擁護する」ことを掲げており、私たちは人々の健康と生命を脅かすいかなる武力行使 にも断固として反対します。また石破茂首相も「イランの核問題の平和的解決に向け た外交努力が継続している中で、イスラエルによる軍事的な手段が用いられたことは 到底許容できるものではない」と発言しています。戦争により、多くの殺傷兵器が使 用されると、その地の人々の命や健康だけでなくインフラや築いてきた文化が徹底的 に破壊されます。本来失うはずではなかった、そこで暮らしてきた人々の命や暮らし が損なわれることがないよう、各政府に対し、建設的な対話に復帰し、終戦と恒久的 な平和を実現することを求めます。
そして、広島・長崎への核兵器使用を正当化し、再び使用することは決してあって はなりません。核兵器はすべてを破壊し、また人々は被爆による健康被害に一生涯怯 えなければなりません。
終戦から 80 年を迎える今、私たちはイスラエル、イラン、アメリカ及びすべての国 の皆様に改めて問います。戦火の犠牲となるのは誰でしょうか。それは無辜の民で す。大切な命や土地、文化、親しい人を失った悲しみは、世界中どこに住んでいても 同じです。暴力による解決ではなく、対話と協調による平和の実現を強く求めます。
2025 年 6 月 25 日
全日本医学生自治会連合 中央執行委員会